契約書の基本知識


契約書は、普段から誰しもが目にする馴染みのある書類です。
しかし、その書類の作り方やどういったことを書くべきか等はあまり意識したことがないかもしれません。
そもそも契約とは、当事者同士の合意に基づいて権利と義務を発生させるものです。

例えば…Aさんが売りたいカバンをBさんが買いたいとなり、お互いの意思表示が合致した場合、
AさんはカバンをBさんに渡す義務が、BさんはAさんにお金を払う義務がそれぞれ生じます。
一方で、Aさんはお金を払えという権利を、Bさんはカバンを渡せという権利を得ます。

これが契約です。

契約はそもそもお互いの自由な意思で決めることができます。
例えばカバンの金額や契約書が必要かどうか等は、当事者同士で勝手に決められるのです。
ただしその契約が口約束であった場合、後から覆される可能性もあります。

そういった危険を回避するために、契約書を作成するケースがあります。
契約書を作成することで、当事者同士の契約に拘束力が生まれるのです。
今回はそうした当事者同士を拘束する効力を持つ契約書について、より深くみていきたいと思います。

 

契約の有効要件

 
そもそも有効な契約とはなんでしょうか?
契約書を作成する上で、契約自体が有効でなければ、契約書自体も無効となります。

契約が有効なものとして認められるために必要な要件は以下の4つです。
①確定性、②実現可能性、③適法性、④社会的妥当性

それぞれ詳しくみていきましょう。
※ここでは、契約当事者の有効要件については省略し、主に契約内容の有効要件について説明しています。
 
①確定性
例えば売買の目的物が不明瞭な場合、その契約は無効となります。
例)Aさんが何か良さそうなものをBさんに売り渡した。

下線部が不明瞭なため、確定性を欠きます。
 
②実現可能性
AさんがBさんに売ろうとしていた物がすでに壊れていた場合、Bさんは壊れる前の状態で物を買うことができず、この売買契約は実現可能性がないものとして無効になります。
 
③適法性
違法な契約は無効となります。例えば、Aさんが建物の賃貸人でBさんが賃借人であった場合に、賃貸人Aの要求があればいつでも無条件にBとの賃貸借契約を解除することができるという契約は無効になります。

なぜなら借地借家法に、建物の賃借人に不利な特約は無効とする旨規定があるからです。
 
④社会的妥当性
犯罪行為に加担するような契約の内容は、そもそも無効です。
例えば、AさんがBさんにある物を盗んできたら100万円をあげるといった契約は無効です。

 

契約書作成のポイント

 
次に、有効な契約を締結する場合に、契約書に記載する事項についてみていきたいと思います。
契約といっても色々ありますが、ここでは代表的な例として「売買契約書」を作成するためのポイントについて述べたいと思います。

「売買契約書」に記載する事項として、下記6項目があげられます。

①タイトル、②前文、③契約内容、④後文、⑤作成年月日、⑥当事者の表示

特に③契約内容については、売買の目的物、金額、当事者が売買契約を締結した事実について必ず記載しなければいけません。
また、特約があればその旨記載します。
 
①タイトル
通常、「売買契約書」等契約の種類をタイトルにしますが、単に「契約書」としても法的に問題はありません。
 
②前文
当事者の表示方法を明らかにします。例えば、「Aさん(以下「甲」という。)とBさん(以下「乙」という。)は、後記売買対象物(以下「本件物品」という。)につき、以下の通り動産売買契約(以下「本契約」という。)を締結する。」といったように、当事者等の略語を設定します。
 
③契約内容
売買契約の内容を具体的に条項として記載します。
通常、条→項→号という順で契約内容を詳細に決めていくのが一般的です。

例)
第1条(目的)
甲は、乙に対し、本件物品を、以下の条件で売り渡すことを約し、乙はこれを買い受けた。

第2条(義務)
1(項) 甲は、乙に対して、以下の義務を負う。
①(号)甲は、○年○月○日までに、本件物品を株式会社○○から買い受ける。
②(号)・・・・
 
④後文
「売買契約書」の作成通数を明らかにします。
例えば、「本契約締結の証として、本契約書2通を作成し、甲乙相互に署名又は記名捺印のうえ、各1通を保有することとする。」等記載します。
 
⑤作成年月日
売買契約が締結された年月日を記載します。契約の有効期間の確定や、正当な権限のもとに作成されているかを判定する基準になるため、とても重要な項目になります。
 
⑥当事者の表示
売買契約の当事者(ここではAさんとBさん)が署名又は記名捺印をします。通常、個人の場合は住所、氏名を記載し、法人の場合には、本店所在地、法人名、代表者名を記載します。

 

以上6つの記載事項をみてきましたが、この他にも目録(物件目録や見積書等)や収入印紙の貼り付け等が必要な場合があります。