電子帳簿保存法で知っておきたい「社内運用の落とし穴」と法務・規程整備のポイント


2026年を迎え、電子帳簿保存法(電帳法)に基づく電子取引データの保存制度も定着期に入りました。

「うちはとりあえずPDFをフォルダに保存しているだけ」「以前のルールのまま運用している」という事業者様、その管理方法や社内ルールの実態、コンプライアンス(法令遵守)の観点から一度見直しを行ってみませんか?

許認可管理やコンプライアンス体制、契約書・社内規程の整備を支援する行政書士の立場から、2026年に事業者様が確認しておきたい「4つのチェックポイント」と社内運用の整え方について解説します。

 

1. 2026年、事業者が直面する電子帳簿保存法の「運用フェーズ」

電子取引データの保存においては、当初の宥恕措置(紙印刷保存の容認等)が終了し、現在は「相当の理由」や「ダウンロード要請への対応」といった一定の要件を満たす場合に適用される恒久的な猶予措置へ移行しています。

自社が猶予措置の対象となるかどうか(税務上の適用可否判断)に関わらず、重要なのは「社内ルールや事務処理規程が実態と合っているか」「担当者が変わっても正しく法令に則った運用ができるか」という社内管理体制の構築です。

 

2. 社内管理の現場で気をつけたい「4つの落とし穴」

①「ただPDFをフォルダに入れているだけ」の状態
メールで届いた請求書やWebからダウンロードした領収書を、適当なフォルダに置いているだけになっていませんか?
電帳法では「日付・金額・取引先」で検索できる状態にしておく等の原則ルールがあります。
仮に猶予措置等を活用する場合であっても、社内での混乱を防ぐため、ファイル名の付け方(例:20260805_100000_株式会社〇〇)や管理台帳の作成など、誰でも再現できるルールを文書化しておくことが望ましいです。

②「事務処理規程」の形骸化(作っただけで運用されていない)
改ざん防止対策として「訂正削除の防止に関する事務処理規程」を備え付けている企業も多いかと思います。
しかし、規程を作ったものの「担当者が変わってルールが知られていない」「規程通りの確認フローが行われていない」ケースが散見されます。
規程と実態がズレていると、社内コンプライアンス上の大きな問題となり得ます。

③ インボイス制度を踏まえた「受領書類」の管理漏れ
受領した電子データが電帳法上の保存管理を行えていても、インボイス(適格請求書)としての記載事項の確認漏れがあると、社内のバックオフィス業務で再確認の手間が発生します。
社内での受領・チェックフローをあらかじめ一体化させておくことが業務効率化の鍵となります。

④ 権限管理・社内ルールの不備によるリスク
電子取引データに関して不適切な書き換えや管理のズボラさがあると、社内トラブルや取引先からの信頼失墜につながります。
猶予措置の適用有無にかかわらず、誰がアクセス・更新できるかといった権限管理とルール徹底が不可欠です。

 

3. 猶予措置の有無にかかわらず取り組むべき「社内体制整備」の3ステップ

税務上の細かな判断は専門家(税理士等)への確認が必要ですが、社内ルールや文書の整備については今すぐ取り組むことができます。
まずは以下の3点から自社の状況を確認してみてください。

▶️ 社内の電子取引ルートを可視化する
個人のスマホ・メール、Webサイトのマイページに領収書データが埋もれていないか、受領ルートを洗い出します。

▶️ 保存・管理のルールを文書化する
全社員が同じ手順で保存・検索できるよう、簡単な作業マニュアルを作成・共有しましょう。

▶️「事務処理規程」の再見直しと現場への周知
現状の社内業務フローと、手元にある規程の内容が一致しているか点検・改訂を行います。

 

まとめ:社内規程・管理体制の構築について

電子帳簿保存法への対応は、単なる帳簿処理にとどまらず、「自社のペーパーレス化」「業務フローの整理」「コンプライアンス体制の強化」を実現する絶好の機会です。

「猶予措置を活用する・しないに関わらず、まずは社内の事務処理規程を現状に合うよう整えたい」
「許認可管理やコンプライアンスを意識した社内規定・マニュアルを作成したい」

当事務所では、企業のバックオフィス業務をスムーズにするための各種規程整備や、社内ルールの作成サポートを行っております。
お困りの際はお気軽にご相談ください。