コロナ感染者の行動履歴を把握することは個人情報保護法上良いのか?

連日、コロナウイルスの感染者の情報がテレビやネットなどで見かけますが、感染者の方の行動履歴が詳細に公開されていることに疑問を感じることもあるのではないでしょうか。

 

「どこに行ったか全部公開されて怖い」

「個人情報保護ってどうなってるの?」

「自分の行動が公開されるのは感染より怖い」

 

こう言った意見を実際に耳にしたりしています。

 

また、国や行政機関もコロナウイルスに絡んだ情報の積極公開と個人情報保護に関しては板挟み状態だ。とコメントをしており、対応に苦慮する部分もあります。

 

今回はなぜこういったことが法的にOKになっているのか、個人情報の取り扱いの観点から触れていこうかと思います。

 

【個人情報保護法上どうなってるの?】

まず個人情報保護法上、どうなっているかですが今回行動履歴を収集しているのが、主に国の機関や地方公共団体になります。

 

こう言ったところは個人情報保護法2条5項の中で個人情報取扱事業者から除外されています。

ですので、個人情報保護法上、何か制約が課せられたり、罰せられることはありません。

つまりこう言った機関に対して個人情報保護法の義務を課すことは出来ないことになってきます。

 

では、法的に制限が一切ないのでしょうか、、、そう言ったことはありません。

国の機関や地方公共団体が拘束される法律もあります。

それは行政機関個人情報保護法や各地方公共団体の個人情報保護条例です。

 

個人情報保護法が主に民間企業を対象にした法律であれば、行政機関個人情報保護法や個人情報保護条例は国や地方公共団体を対象にしたものになります。

※個人情報保護条例はその地域の企業も対象にしています。

 

 

【行政機関個人情報保護法などでどう書かれているか】

行政機関個人情報保護法の8条2項の2では「行政機関が法令の定める所掌事務の遂行に必要な限度で保有個人情報を内部で利用する場合であって、当該保有個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき」という条文があります。

※行政機関個人情報保護法の8条2項の2から引用

 

恐らく、行政機関はこの条文を根拠に感染者の個人情報を収集・取得しているものと思われます。

 

各自治体や国の会見を見ている限り、会見の中では氏名などの公表はなく、世間一般に個人情報は公開されていない状況です。

 

ただ、行政内では細かな行動内容の把握をするために個人情報を取得・収集・解析を行っている状況です。

 

マスコミなどはぼかしがある状況ですが、感染者の方の行動に関する動画を出したりしておりますが、マスコミは元々個人情報保護法の中でも対象外に定まっているので、直接的な個人情報保護法の規制が報道に関する部分では規制されない状況です。

 

【その他の法律でどう定まっているか】

今回のコロナウイルスに関して、情報公開などは他にどんな法律で定まっているのでしょうか。

 

1つ根拠して感染症法というものがあります。

この法律の16条では「発生状況や予防に必要な情報を積極的に公表しなければならない」と定められています。

※感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律16条から一部抜粋

 

感染拡大の防止や予防のために行動履歴などを公表している形になり、情報公開に関する根拠はこちらの法令が根拠として強いと言えます。

 

ただ、この法令でもどこまで公表すべきかが定まっていないため、個人情報保護との板挟みになって国や各自治体で情報公開の粒度に差があり、感染予防の弊害になっているとも言えます。

 

今回のような緊急事態だからと言って国も法律を無視して、個人情報を扱ったりはしていないので、その点は安心してもらいたいところです。

 

【まとめ】

2020年4月14日には新型コロナウイルスの感染者との接触を探知するアプリの発表もありました。

詳細は下記の記事に記していますが、公表の福祉と個人情報保護・プライバシーの保護のどちらを優先すべきか悩ましいところだと思います。

新型コロナウイルス感染者との接触を通知する携帯アプリについて個人情報保護の観点からの考察

 

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