住所変更漏れで書類の誤送付!これってどっちの責任?

郵便物をお客様に送ることは多くの企業でやっていることです。

対個人のサービスを行っているとなおのこと多くなってきます。

そんな中、顧客側の個人のミスなどで書類の送り先となる住所の変更がなされていないこともあります。

こちらは正しい住所に郵便物を送ったのに、送り先には別の人が住んでいて、郵便物を開けられてしまった・・・なんてことを経験したことがある会社も多いのではないかと思います。

 

宛名に書かれている個人情報はもちろん郵便物の中身を見られてしまったことで個人情報が漏えいしてしまった。というケースもあります。

その場合、一体誰の責任なのでしょうか・・・

 

今回は「住所変更漏れなどで個人情報が漏えい等してしまった場合」の責任問題について、個人情報保護法等の観点から解説をしてみたいと思います。

 

【漏えい時の報告義務】

まず。漏えい等が起きてしまった場合ですが、個人情報保護法上に明確な報告義務は明記されていません。(2020年5月現在)

実は個人情報保護法42条(勧告及び命令)に下記のような記述があります。

第四十二条 個人情報保護委員会は、個人情報取扱事業者が第十六条から第十八条まで、第二十条から第二十二条まで、第二十三条(第四項を除く。)、第二十四条、第二十五条、第二十六条(第二項を除く。)、第二十七条、第二十八条(第一項を除く。)、第二十九条第二項若しくは第三項、第三十条第二項、第四項若しくは第五項、第三十三条第二項若しくは第三十六条(第六項を除く。)の規定に違反した場合又は匿名加工情報取扱事業者が第三十七条若しくは第三十八条の規定に違反した場合において個人の権利利益を保護するため必要があると認めるときは、当該個人情報取扱事業者等に対し、当該違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべき旨を勧告することができる。

※個人情報保護法42条1項から引用

企業が守るべき様々な事項について、違反があった場合に個人情報保護委員会は介入することが出来ます。

個人情報保護委員会への報告についてはあくまで「個人データの漏えい等の事案が発生した場合等の対応について(平成 29 年個人情報保護委員会告示第1号)」で定められた努力義務事項になっています。

 

 

2020年5月現在、個人情報保護法上での報告義務化への改正が進んでいますが、現時点では個人情報の漏えい等があって報告をしていなくとも法律違反とはならないことになっています。

ただ、ほかの業法等で報告義務があるときは別ですので、注意してください。

 

もちろん、会社として報告・公表等していなかったら、社会的信用に関わるケースもありますが些細なことまで報告義務は「ない」ということになります。

 

【どっちの責任】

次に正しいと思ったに誤送付してしまった場合、どっちが悪いのでしょうか・・・

顧客からすれば、自分あての郵送物が他人に送られてしまったわけですから、会社が悪い!と思うことでしょう。

会社の方からしても、変更してないそっちの責任。になります。

結論を先に言ってしまうと、ケースバイケースにもなり、どっちに責任があるかは断言できない。になります。

こういった問題について、個人情報保護法はどっちの責任になる。と定めてはいません。

誤送付による精神的苦痛などがあり、会社側に過失がある。やプライバシーが侵害された。など民事の裁判で争える点は多々あるようにも感じます。

今回は民法などは考慮にいれず、あくまで個人情報保護法上だけの見解になります。

ただ、会社として過失ないこと、少ないことをどこまで証明できるかがポイントにはなると考えられます。

 

【会社を守るためにやっておくべきこと】

上記で述べた「過失」の点についてですが、個人情報保護法の観点からで行くと過失を少なくするためにどういったことが考えられるでしょうか。

 

個人情報保護法19条(データ内容の正確性の確保等)に書かれていることをどこまでしっかり行っているかが1つのポイントになってきます。

第十九条 個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならない。

※個人情報保護法19条から引用

 

「個人データを正確かつ最新の内容に保つ」ことをどこまで頑張っていたか。です。

例えば、引越した場合の住所変更の手続きなどが分かりやすくなっているかリマインドしているかなど、今回の誤送付の問題に関して言うと、顧客に対して、住所変更についてどこまでわかりやすく促せているかが重要です。

 

また、仮に解約した人がいたとして、間違ってそこに書類などを送付した場合もこの法律の努力義務にかかってきます。「利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去する」という点です。

 

個人情報保護法では会社がもつ個人データについてちゃんとその内容が正確であるよう努力することを求めていますので、会社として個人情報取扱事業者としてどこまで頑張っているかで、「過失」の度合いが変わってくると考えられます。

 

【まとめ】

完全にもらい事故のような個人情報の漏えいかもしれませんが、会社として「何も悪くないです」とは一概に言えないケースもあります。

個人情報の取扱いをちゃんとルール化してどこまで取り組めているかが自社を守るのに必要になってきます。